Rediscover Japan.
お茶の世界。日本の楽しいこと、美しいもの。
色々 / Others

『日日是好日』 茶人必見の強く優しい映画です。

日日是好日(にちにちこれこうじつ)

のBlue-rayを手に入れました。本日発売です。

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原作は森下典子さんの、

日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ

お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。

この原作に私が出会ったのは、茶道を初めて間もない頃でした。誰もが一度は通る道なのでしょうか、「もう茶道やめようかな・・」と考えていた時期がありました。その頃、こちらの著書に出会い、茶道をやめることを考え直し、今に至っています。この原作に出会っていなければ、私はあの時茶道をやめていたのだろうなと思うと、茶道を通じて出会えた感動や理解できたことが、今でも分からなかったのだろうなぁ・・・。そう考えると恐ろしいです。

それ以降、年に1回程度ですが、定期的に読み返す大切な本になっています。

言葉ではうまく表現できない「茶道とは」のエッセンスを、著者が自身の茶道経験を丁寧に描写することで、分かりやすく表現されています。

この作品は25年という長い時間軸で話が進んでいきます。25年あると、人の人生様々なことが起こります。

どんなときにもお茶がそばにあった」

そんな主人公の人生を見つめることで、自身の過去も今一度そっと振り返ってみて、今、そして今後どう生きたいか、様々なことが変化していく中で、自身はどうありたいか、などをじっくりと考えるきっかけになりました。

映画での配役、主演の典子役は今をときめく黒木華さん、武田先生役はかの樹木希林さん、いとこの美智子役は多部未華子さん。ん〜なんて豪華!この作品で日本アカデミー賞はじめ、様々な賞を受賞されました。また、主演の黒木華さんは私生活でも茶道のお稽古に通われ始めたそうですよ。

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原作に出会えたことに感謝していましたが、映画化されて大喜び。しかも映画によくある「原作の方が良かった・・」ということが無く、本当に素晴らしい作品に仕上がっており、円盤化されるのを心待ちにしていました!

樹木さんはじめ、日本を代表する役者さんたちの演技が素晴らしいのはもちろんなのですが、それ以外にも、美しいお茶室、そのお茶室から見える四季折々の庭、季節ごとの可愛らしいお菓子、艶やかな着物、表千家・不審庵が全力でバックアップしたといわれる名のある数々のお道具、と、とにかく見所がたくさんです!

そして主人公の典子が辿る茶道を通じた経験が昔の自分をみているようで、心にグッときますよ。

「袱紗さばきって何?」から始まり、割稽古、せっかくお点前を少しずつ覚えてきたと思ったら、え〜風炉に変わってお点前変わるの?せっかく覚えたのに、半年後なんて忘れちゃう。お茶会ってこんなにドタバタしてるんだ、などなど。

茶道あるあるがたっぷり詰まっていて、クスッとなることもしばしば。

作中で特に印象に残った言葉が3つありましたので、ご紹介します。

「一期一会」

茶道の精神の1つ、いつも心に留めている言葉です。作中で主人公の父の死のエピソードと絡め合わせて出てくるので、今一度、誰かに伝えたいことや大切なことは先延ばしにしないこと、を考えさせられます。大切な人ともう二度と会えないとしたら、最後にその人に向かって放った言葉や接した態度は間違いのないものにしたい、と改めて思いました。そして今この瞬間を大切にする、ということも。同じように見えても、同じときは二度と来ないのだから、ということ。映画の中では後半になって、武田先生と武田先生の師匠のお話、そして主人公典子の父の死と別れのシーンでこちらの言葉が取り上げられますので、是非、注目してみてください。

「世の中にはすぐわかるものとすぐにはわからないものの二種類がある」

主人公典子が茶道のお稽古を始めてしばらく経ってから発する言葉です。お点前って何度も繰り返さないとわからないんですよね。自身の普段の生活や人生の出来事も同じであの時は分からなかった、でも今ならわかるということ、思い返してみるとたくさんありますよね。

「毎年同じことを繰り返せることが幸せ」

武田先生の作品の終盤での台詞です。こちらも茶道にも人生にも通ずる言葉ですよね。お稽古も、日々の暮らしも、同じことを繰り返し、歳を取っていけることが幸せなんだろうな、と思わせてくれます。タイトルの「日日是好日」に繋がっていますね。しかし一方で、最初の言葉の「一期一会」のとおり、今日と同じ日はもう二度と来ない。だからこそ毎日が特別な日なのだということ。

この作品の撮影中、武田先生役の樹木希林さんは末期がんに侵されていました。この言葉を樹木希林さんはどんな気持ちで言ったのだろう、と考えると、心に更に重く響きました。役の台詞としではなく、素のご自身の心からの言葉だったのだろうなと思っています。

『日日是好日』、いかがでしたか?

茶人必見と冒頭で述べましたが、そうでない方にも心からオススメしたい作品です。茶道のお稽古だけでなく、挫折、出会いや別れを経験する典子の25年間、時に涙ぐみ、考えさせられるエピソードがたくさん詰まっています。それでいて、観終わった後にはスッキリとした清々しい気分にしてくれる、強く優しい作品ですよ。

毎日が同じでつまらない、と思っている方にも是非見ていただきたいです。この世には色んな人の人生があって、五感を研ぎ澄ませれば、毎日の同じ景色も違ったものに見えてくることを気づかせてくれますよ。

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