茶道を知らない人に「茶道を習っている」と話すと、「わっ!お金持ち!」と一番に反応が返ってくるくらい、「茶道」に対するイメージにはお金がつきまといます。実際に茶道を習いたいと思っても、「ものすごくお金がかかるのでは?」と心配になったり、「うちは無理。」とはじめからシャッターを下ろしてしまう人もいるのではないでしょうか。
なので、今日は“茶道には一体どれくらいお金がかかるのか?”を、きちんと整理してみたいと思います。

「将来、教授になって教室を開きたい」「家に茶室をつくり、本格的にお稽古したい」「近所の茶道教室に週1で通って学びたい」など、様々なパターンにより、いくらかかってくるかは大きく異なってきますが、今日は3番目の「近所の茶道教室に通いたい」でどんな出費があるかを考えてみました。
茶道教室に入門!想定される費用
月謝
毎月発生するもので、先生に毎月のお稽古代として納めるものです。各教室によって異なりますが、私の場合、月3~4回で、水屋代(抹茶・お菓子代)を含め、8千円/月を納めています。他教室のサイトも見ると、大体この辺りが相場のようです。
道 具
これは自分が日々のお稽古で使用するもので、「袱紗・懐紙・菓子切り・古帛紗・扇子・懐紙ばさみ・白の靴下・稽古着」を指しています。消耗品の帛紗・懐紙・白の靴下以外はそうそう買い替えるものでもないかなぁと思いますので、お稽古を始めたときの出費として考慮しておけばOKです。
どれも値段はピンキリですが、稽古着以外は数百円~3千円程度だと思います。袱紗や古帛紗はランクによって数万円のものもありますが・・。
稽古着は着物で通えない人のために市販されている巻きスカートのようなもの。1枚あると、会社帰りでも重宝します。上だけのタイプ、上下二部式のタイプなど様々です。上下二部式は、本物の着物のような形をしていますので、着物を着た時の感覚を含めたお稽古ができるのが利点です。袂が建水に入らないかとか、裾さばきなど、実際に着物を着ると感覚が違うというのはよくあります。
許状申請料
許状申請料については、別記事にまとめております。個人のペースにより、数年に一度発生するものです。
茶 券
お茶会の茶券代です。金額はお茶会によって異なります。
500円~2万円などがありますが、自身の予算と希望により参加する茶会を選びましょう。500円クラスは、一般的には市民茶会のような気軽なお菓子とお茶だけの茶会を指します。2万円のランクでは、茶懐石などの食事が出るのが一般的です。お茶とお菓子も1席だけではなく、濃茶・薄茶など2席、3席ついてきます。お道具も唸るような名のある物が出される筈です。
私の教室では基本、お茶会は個人の自由参加です。年に何十回とあるお茶会の案内を茶券の金額も併せて教えてくださいます。その中で自身の予算と照らし合わせて、参加したいお茶会を選んでいます。数万円のクラスのお茶会にはめっきり参加していませんね・・。
初釜

初釜とは新年に初めてかける釜のこと。お茶とお菓子だけでなく、茶懐石なるお料理も頂く行事、いわゆる茶事です。
この項目も教室によって異なります。参加必須の教室もあると思いますが、私の教室では一応自由参加です。しかし先生は内心皆に来てほしいと思ってらっしゃるなぁ・・というのはひしひしと感じます。なんせ一年の始まりですからね!社中の皆と新年のお祝いをするのはとても嬉しいものです。
私の教室では、初釜は例年料亭で行っており、金額は大体1万~3万円です。これは全て料亭に支払う金額ですが、稀にここでも先生への「お礼」を別途包む教室もあるそうです。
着 物

茶道の世界では何かと着用する機会が多い着物ですが、こちらの価格もピンキリです。
高い物は数百万円、ですがリサイクルショップ(コメ兵など)を上手に利用すれば、上から下まで意外にお安く揃えることができます。私は初めの着物は全て新品でしたが、格安着物店で購入。着物はポリエステル、長襦袢は正絹、帯は正絹・名古屋帯、草履は自身の足に合った2万円程度の草履を購入しましたが、全て合わせて7万円くらいでした。
コメ兵
「お茶会の着物は絶対に正絹!正絹でないと失礼!」だなんていう方もみえますが、ん~・・正直、今は昔の考え方かなぁと。
今は化学繊維でも、言われなければ正絹と見違えてしまうほどに、化学繊維の質はあがってきていますし、見た目さえきちんとしていれば、ポリか正絹かは茶道の本質には関係ないと思います。例え正絹でも見た目きちんとしていなければ問題です。
それに万が一お茶を着物にこぼしても、化学繊維なら自宅ですぐに洗えます。お茶会では自分の不注意だけでなく、人にぶつかられた、などで着物が汚れるアクシデントが往々にしてあるものです・・・。
そしてしばらくお茶を続けて、着物を着る機会が増えると、自然により良い着物が欲しくなっていくものです。その時その時で、自分にできる範囲で着物は揃えていけばよいと思います。私の社中には毎回レンタル着物で着付けも美容室という方もいらっしゃいます。
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それに実は、お茶会に参加する側は着物着用はマストではありません。私も着物を持っていなかったころは、ワンピースで参加していました。
先生へのお礼

この項目は教室によって本当に大きく異なります。
よって茶道のお金にまつわるetcで物議を醸すのは、この項目が一番なのではないかと思います・・。「茶道は意味不明のお金がかかる」という悪いイメージがきているのはここからだと個人的に思っています!
教室によってはお礼の金額を指定される茶道教室もあるようです。
「先生へのお礼を金額指定されて包むのって、何となく違和感がある・・」と思われる人がいるのは、よく理解できます。
お金のことなので聞きにくいかもしれませんが、教室に入ってからのトラブルを避けるために、お礼はどんなときにどんな金額包むのか、他弟子に教室に入る前に確認しておくのが良いと思います。
よく「お金の話をするなんて非常識!」と言われる古株弟子さんがいらっしゃる教室もありますが、私は「お金の話をうやむやにすることの方が非常識である。」と考えます。
特に茶道を始めたいという大学生・新社会人にとって、数千円のお金はとても貴重なもの。その点をはっきり知らずして、安心して茶の道に入れる筈がありません。「非常識」と言い放たれるような先輩たちがいたら、今後そんな先輩たちと一緒でもずっとやっていけるかをよくよく考えてから入門した方が良いかもしれませんね。
先生へのお歳暮・お中元

「暮れ~の元気なご挨拶~♪」のお歳暮とお中元です。
教室によって必須なところもあるでしょうし、金額も数千円~数万円とマチマチと思います。ちなみに私の教室ではこちらの項目はありますが、私は包んでいません。笑
というのも、はっきりとした基準が無く、「現金で渡す」という社中もいれば、「現金なんて失礼!物!」という社中とわかれており、曖昧になっているからです。何より弟子入りした当時、若すぎてそういった文化を知らず、「今更始めるのもどうなの?」と思うので、気づかないふりをしています。笑 お姉さん弟子の間では物議を醸したこともあるようですが、気づかないふりをしています。笑
気になるけど、なかなかはっきりしない茶道にかかるお金を一通り挙げてみました。こうしてみると、お金、かかりますね・・。お月謝以外はいかようにもやりようがある項目だなぁ、と書いていて、改めて思いました。「お礼」や「着物」などは教室の方針により千差万別なので、教室を選ぶときはこの点も考慮して教室を選ばれると良いかと思います。
自身が茶道に割くことのできるお金を考えて、楽しいお稽古ライフを送りましょう^_^